さとうのろふと

S4UC8R0の部屋

そんなこともわからないんですか、ミスタークソリボン。

 


どうも、負けヒロイン学会研究補助員のさとうです。

 

あけましておめでとうございます。

新年とか新学期とか、区切りっぽいタイミングを迎えるたびに新しいことに手を出したり、アクセルを全開にしたくなっちゃった人も多いのではないでしょうか?なあ、4月で既に諦めているそこのお前。

 

1月になったら頑張る

2月はまだ寒い

3月は区切りが悪い

4月は暖かくて眠い

5月は五月病

6月は雨が降ってて嫌

7月は夏から頑張る

8月は暑すぎる

9月は……(思いつかなくなった)

 

自分はというと、お前らとは違ってもう元気いっぱいなので「ポケットモンスター ソード」を始めて、「月刊少女野崎くん」を視聴して、さらに「魔法少女まどか☆マギカ」を視聴しました。(追記ですが、さらに「邪神ちゃんドロップキック」と「冴えない彼女の育てかた」、「ひだまりスケッチ」なども見ました。みすぎ)

 

ポケットモンスター ソード」(2019年)

「邪神ちゃんドロップキック」(2018年)

冴えない彼女の育てかた」(2015年)

月刊少女野崎くん(アニメ)」(2014年)

魔法少女まどか☆マギカ」(2011年)

ひだまりスケッチ」(2007年)

 

過去に縛られてません?

 

 

 

 

 

さて、気づきましたでしょうか。お前らとは違って元気いっぱい過去に縛られてる……?

そうです、今夜私がいただくのは、中野家から盗んできた中野四葉です。

 

先日、「ましろ色シンフォニー(アニメ)」や、「冴えない彼女の育てかた」を見ていて思ったんですよ。

 

中野四葉には負けヒロインの素質がないのでは?

 

え、そう……?と思ったそこのあなた。なかなか中野四葉さんに明るいですね。でも、もう要りません。帰ってください。

あなたはずっと、そこで座っていればいいです。そうやって、仮面をかぶった彼女の姿を眺めていればいいじゃないですか。ミスタークソリボン。

 

ついていけないなと思ったあなたのために!まず、負けヒロインには共通して以下の二つの傾向がありがちだと考えています。私が集めた負けインデータのサンプル数は3つくらいです。

 

  • 素直になれない・踏み出せない

もう現実的な話としても最大の理由ですよね、これ。負けヒロインが負ける理由とかそういうアニメ的次元の話ではなく。

好きな男にやたらと強く当たってしまうタイプの、いわゆる暴力ヒロイン的傾向が強い負けヒロインとか……なあ、乾。素直になれないからって、流石にクズ虫は言い過ぎなんじゃないか?おい。それで好意が伝わるわけないだろ。

結局最後はそのまま言わなきゃわからないんですよね、人類。ド直球な言葉を返せばサヨナラ勝ちの場面で、この手のキャラはことごとく凡退します。強いスイングは基本です。中途半端に当てに行くスイングは、身体の回転を止め、腕に頼った、バットの遠回りを生む諸悪の根源です。もうあなた要らないです!

 

また、後述する進展済みの関係を持つ故に、その関係が壊れるのを怖がっている。あるいは、それに甘えていつの間にか持っていかれてるタイプのヒロインとか、ありがち。

なんとなく小野寺小咲の顔が思い浮かびましたが、あの作品が反吐が出るほどに苦手あまり読み込めなかったため、彼女の行動を思い出せません。まあでもざっくりこのタイプにあたると思っています。有識者、ごめん。お前にはついていけないよ

 

こういう子たちが、な~んかフワフワ、のんびりしてるように見えて普通にやることやってたり、天性のパワーを持ってたりする女に掠め取られていく様など、何度も見てきた方は多いかと思います。

俺、天羽みうさん怖かった~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!やだ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

  • 進展済みの関係

例えば幼馴染属性ですよね、もうこれ以上ないポピュラーな負け属性です。

普通に考えればアドバンテージなのになんなんでしょうね。何故か新登場した女に持っていかれます、きっと新しいモノには目移りしちゃうんですよね。別にスマホオタクでもなく毎回iPhone変える意味わからん人?

 

なんとなくですけど、男側が長い付き合いのうちに友達枠として認識していて、一緒にいると変わらない日常を感じてしまう程度には、「あたりまえの存在」になりがちなんでしょうね。そりゃ突如現れた正ヒロインとの新鮮な日常には勝てません。お前、退屈!刺激が足りねンだわ。

 

しかし、この属性持ちは本当に訳わからんパワーが働いてるレベルで負けますよね。この属性の有無で負けヒロイン本人に生じる問題って、さっきの素直になれない問題くらいしか今のところ想像できないので、なんかしらの呪いとかかけられてるんだと思います。地球を創った神が幼馴染に男を取られたんでしょう。神話の真実がここに隠されていた。草野仁もびっくり。

 

 

 

 

 

 

以上が、負けヒロインにありがちな傾向です。では、中野四葉さんの負けヒロイン適正を議論するために、彼女がこの傾向にあるか検討してみます。

 

【素直になれない】

これはクリアしていますね。彼女は過去の大きな失敗によって、風太郎や姉妹に対して負い目を感じており、どれだけ揺れ動いても最終的には自分の気持ちなんて優先できない、他人第一のお節介モンスターへと豹変してしまっています。

 

それどころか、作中での心理描写は姉妹の中でも圧倒的に少なく、我々読者にもなかなか本心を見せてくれません。お前いい加減にしろ。

 

【進展済みの関係】

これもクリアしていますね。何を隠そう彼女が「写真の子」であり、風太郎の初恋の相手です。死ね

彼は気づいていなかった、というか、最終的には現在の四葉そのものに好意を抱いているため気にもしていませんでしたが、姉妹の中でほぼ唯一、この条件が備わっています。

 

 

 

 

 

ここまで読んで「えっ、じゃあ負かしてもいい素材じゃないですか」と思った貴方はミスタークソリボンです。

 

彼女には、もっと大切な素質が欠けてしまっています。

 

  • なぜ負けヒロインに惹かれてしまうのか?

そもそも、多くの負けヒロインは負けたまま潰れていくほど弱くありません。

彼女たちは、失恋という一つの経験をしただけです。なにも他の女を選ぶカスを逃しただけで、すべてを奪われ廃人になるわけではありません。脳のあらゆる機能を失い虚ろな目をしているが、彼との思い出の地では何故か涙を流す車椅子の女になるわけではないのです。(そっちのほうが好み?そうかい……)

 

お前は!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

強くならなければならない!!!!!!!!!!!!!!

 

どれだけ泣いても、立ち上がって、前を向く姿に俺たちは惹かれるんじゃないのか?そんな男がいなくても、一人で勝手に可愛く、美しくなっていく逞しさにこそ、彼女らの魅力が詰まっているんだ。思い出してください、もう涙を流すのは終わりです。

 

ムカつく~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

澤村・スペンサー・英梨々、よかったねえ~~~~~~~~~

 

あのツインテ、男絡みでいちいち描けなくなったり、負けを受け入れたら描けるようになったり意味わからんくてクソ面白かった。怖い怖い怖い怖い怖い!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

なあ、

 

 

おい。

中野四葉、お前はどうだ?

負けても、強くなれるんか?



 

 

多分、無理です。

「○○が選ばれて良かった!!!!!!!!」とか言い出しても、自分はなにも驚くことが出来ません。

 

いいわけねえだろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ボケが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

それどころか、彼女を支配する「他人のために生きるんだ中枢」にアホみたいな刺激が入ってもおかしくはありません。姉妹に男持っていかれてまあまあ傷ついても、結局、根本的に解決する問題ではないので。病的な他人優先気質は。

 

 

お前は、強くなれない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

勝て!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

自分を優先することを思い出したとき、初めて、彼女は強くなれるんです。

これが決定的な素質のなさってワケ。

 

 

 

以上が、ポピュラーな負けヒロイン属性を持ちつつも何故か勝利してしまった中野四葉さんの話でした。卒業研究でもこの内容を発表したのですが、負けヒロインデータのサンプル数が少なすぎるとバチボコに殴られ、研究員から補助員に降格されました。

 

次回は、乾紗凪を救済(すく)ってみた。もしくは、何が好きかより何が嫌いかでキャラを語れよ20022年版をお送りします。

 

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社会人、きつすぎ。ましろ色シンフォニーのゲームやってる時間ない。

 

読みやすくなるように工夫する時間もなかった 未熟!

『プロフェッショナル ぐらしの流儀』~学園生活部・恵飛須沢胡桃~

追われる立場って、実はそこそこ恐ろしいですよね。

前には誰もいない。背中に感じ続けるのは、近づく気配、周囲の期待、羨望、はたまた憎悪だったり。これって恐らく、止まることなく走り続けてきた人にしかわからないモノで。

 

こんな僕も、追われる立場になったことがあります。

大学入学から二月が過ぎた頃。新しい環境にもすっかり慣れ、キャンパス内でのあらゆる行動が、いつも同じ、決まった習慣のようになり始めた時期のこと。一人の顔見知りが、その決まった動きを把握するようになったのです。

 

ある日。僕の背後をひとしきり不審にうろついた彼は、何かを決意したように、声をかけてきました。

 

『ねえ……飯、行きたい』

 

”今夜は……まだ、帰りたくない”

そんなフレーズを想起させるような、切ない声色。

他にも様々な事情があった上で感じた身の危険、押し問答の末に振り払った帰り道。

降りしきる雨、背中を刺す”視線”。

振り向けば、そこには──────────

 

 

これいつも要る?

 

 さとうです。おたよりを読んだ感想。というよりは、おたよりを読んだうえで恵飛須沢胡桃の話をしたくなりました。

 

 テーマはおたよりの第2話「くるみ」を読んで、1巻に戻り本編第2話を読んで……って、実質2話だけ読んだ段階で決まったヤツです。

つまりはこれから要素を探してくるので、もしかしたらこじつけ都市伝説みたいになったり、そもそも全然量を書けなかったりするかもしれません。見切り発車。

いや、なったりしましたね。けど、本当にここがよかったんだよなって思ったことは間違いなくて、それだけ短く書きます。ただ読んだ感想なので、あなたが原作全12巻おたよりを読んでいると嬉しいです。お前じゃなくて、俺が。もちろん、ネタバレはたくさん含みます。

 

【そもそも恵飛須沢胡桃って?】

”ふふーん、知らないな?”

ざっくり、シャベルを愛用するツインテ元気っ子。筋肉質で男前で無鉄砲.だけど……って、これほんまか?

 

定理:恵飛須沢は可愛い
[証明] そりゃそう.□

 

 がっこうぐらし!~おたより~ って、

 

パンデミック収束後の世界で、手紙が紡ぐ、みんなの「その後」。
彼女たちは自分の目指すべき道を歩んでいます。
「ずっとみんな一緒」ではない、学園生活部の近況を「おたより」にのせてお届けします。

 

って感じ(原文mother)なんで、2話「くるみ」では、彼女の近況やらなんやらが、手紙で作られた紙飛行機に乗って届きます。そのなかで気になった、彼女が医者を目指すことになる動機の話。

 

彼女のはじめの動機は

 

『役に立ちたい 立たなきゃだめだ』

 

です。どうして彼女はそのように考えたのか、振り返ってみます。

 

「足手まとい」の自分

 例えば、『一緒にいると、ダメになると思ったわけ』、アキの言葉が聞こえたとき。一度感染したことで、”かれら”に、人間として認識されなくなったことが判明したとき。感染してしまい、ゆき、りーさん、みーくんに救ってもらったとき……

様々なシーンがありますが、彼女が「足手まとい」になっていく自分を意識しはじめたのは、もしかしたら、学園生活部が始まるよりも、ずっと前のことだったのかもしれません。

 物語が終盤に向かうにつれて、歩くことはおろか、意識を保つことも難しい状態になっていく彼女。いつしか「足手まとい」であることに対して、強い恐怖を抱くようになります。

 

そしてついには『目が覚めたら、全部が終わってた』わけです。

 

 目覚めた彼女に突き付けられたのは、復興に向けて進み始めた世界と、そこで生き残ってしまった「足手まとい」の自分。そんな彼女だからこそ『役に立ちたい 立たなきゃだめだ』という、焦燥感にも近い気持ちが強く湧いた。って感じだと思います。

 

誰だって生きてていい

 この記事を書くきっかけになったのは、おたより2話「くるみ」のなか。彼女の勉強を見てくれている畑中先生の言葉です。

 

無駄、役立たず、足手まとい。

このご時世だから、医者に来る患者は、たいていそう思っている。

君はまだ何者でもない、ハンディもある。

でも、生きるのにそんなこと関係ない。

君ならそれを患者に示せる。

 

ほとんど原文。

 誰だって生きてていい、そんなことも忘れそうになる世の中。足手まといの彼女だからこそ、人々にそれを思い出させることが出来る。コミックスにはこの後ろにまんま書いてある話だけど、なんかどこかで見た構図だよなあ……

 

 足手まといでも、みんなを導くような存在になる。不純さなんかどこにも含まれない、前向きな決意を彼女に与えてくれるのが、この言葉だと思っています。畑中先生、好きです。

 

最ごに

 さて、ここで彼女の実質登場である本編2話「おもいで」に戻ってみましょう。

 

走るのは嫌いじゃない

でも 部に入った動機はわりと不純だ

追いかけたい人がいたんだ

ほら マネージャーって柄じゃないしさ

 

「追いかけたい」という気持ちから始まった彼女が、実質最ごの登場回では、「追いかけられる」存在になることを決意して終わる。これが素敵な構図だなあって思いました。こじつけ都市伝説。

 

おわり

 なんかいろいろ書いたけど、始まりと終わりがなんかいいよね……ってだけの話でした。冒頭に書いたクソしょうもない話のほうが長くなっちゃった気がします。わざわざ読んだ人は後悔してください

 

 この感想を執筆するにあたって、本編12巻とおたよりは全て読み返したのですが、やっぱりわからないところも多いですよね。「学校」とはどんな場所か、とか、色々な事が書いてあるんだろうなあとか思っても、もっとわかりやすい言葉に翻訳するどころか、それを読み取って勝手に一人で想像することですら、結構体力を奪ってきます。好きな作品だけど。

 

 好きを言葉にするのって、もしかしたら難しいんじゃないかなって思うんですよね。例えば、がっこうぐらし!を全部読んだうえで、なんかわからんけど物凄く好きな展開、というか事実?があります。「ずっとみんな一緒」であることを大事にしてきた学園生活部が、ずっとは一緒でいられない、ということに目を向け、シフトしていったことです。

 

好きだから、一緒にいるだけじゃだめだから

いってきます、いってらっしゃい って言ってここまで来たよ

 

 これ、本当にすごく好きなんですけど、やっぱりどう頑張っても「すげ~惜しみながらも卒業して新しい場所に散って、会うことはないけどお互い元気にやってて……学校って、なんかこんな感じだよね。だから、おたよりってコンセプトは本当に好きです」くらいの感想しか作れません。最初はこれでゴリゴリに書こうかなとか思っていたんですけどね。感情的にはもっとたくさん書けそうなくらいの大きさなのに、なんだこれは。

 好きになる瞬間は、表現できる理由が絶対に必要ってわけではない気がしていて。なんかわかんないけど、いいよね!みたいな。理由なんか大抵後付けしがちです。苦手なのはそのせいですかね?前回の記事が「何が嫌いかでキャラを語れよ2021」みたいな感じの、あえてなコンセプトになったのにも、そんな背景があったりします。今回は量のわりに本当に時間がかかった。

 

 ほかにも、「足手まとい」関連の話を、ゆきちゃんも感じたりするところ。実際は自分とほとんど差がなくて、同じような悩みを抱えているような人々との交流のなかで、勝手に角が取れたり、洗練されていくようなところに学校を感じたりします。がっこうぐらし!に感じる学校要素を集めるだけの記事ってのも、面白いかもしれません。やるとは言ってない。

 

 なんかよくわからんことを何も考えず書いている間に長くなりました。ここまでなんも知らんのに読んだ方も、ゾンビ映画(映画?)ではない「がっこうぐらし!」を、ぜひご覧になってください。ここまで書いたところでだいぶ疲れたのでチェックもなんもせず投げます。

 

また、どこかでお会いしましょう。

 

何が好きかより何が嫌いかでキャラを語れよ2021

 

「あっ、あとチキンクリスプください」

男の一言で、レジはたちまち涙に包まれた。

 

 全世界に”望まない未成年たちからの妊娠相談”をもたらした疫病も、地球人類との共存に向かいつつある2021年。ざっくり秋。二人の間に落ちた滴と、30分前のワクチンを受け止めた左腕……その腕で食べたチキンクリスプこそが、これまでの人生で最も重たく、塩辛いものだったのでした。

 

おはようございます、さとうです。

先日お会計で店員さんに泣かれてしまったのですが、これもワクチンの副作用なのでしょうか?厚〇省の皆さんからの回答、お待ちしております。

 

 さて、本作は僕が狂わされているキャラ、中野四葉(五等分の花嫁)のココが嫌いだってお話。画像は1枚しか使用されないので、五等分の花嫁を読破していない皆様には多分伝わらない…そんな内容です。つまりネタバレが含まれます。

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[そもそも中野四葉って?]

 中野家の五つ子の四番目。どんな厳しい状況であろうと底抜けに明るい笑顔でその場を明るくしてくれるムードメーカー的存在。天真爛漫を地で行くように見える女の子。クソデカ緑うさ耳リボン。

定理:中野四葉は目に優しい
[証明] 緑だしエロい.□
 
結論から言えば、彼女の行動原理が嫌い。
 
 彼女を語るうえで絶対に外すことのできない要素のひとつとして、自分よりも他人を優先する性格があって、これは序盤中盤終盤、隙がなく描かれてると思うんですよ。まるでね、将棋。
 代表的なシーンとしては「七つのさよなら編」があって、あれって「二乃と五月の意地の張り合いから始まって、なんやかんやあって彼女は姉妹(と上杉)の力で陸上部から退部させてもらったお話!」みたいな感じなんですよ。雑?うるさいよ。この一連のお話の中で二乃はやたら伸びてしまった髪を切り落とします、つまりは過去からの解放を成し遂げたりするわけです。それで彼女はどうだったかっていうと、「断れない性格が災いして陸上部の勧誘を承諾してしまったが、自分でも他人の役に立てるから…とどこか言い聞かせているうちに、結局一番大切な人たちに迷惑をかけてしまった」って感じ。これ実は過去にゴリゴリに縛られたまま。お前はいつもそうだった。
 
 大前提として、彼女は自分がそこにいる意味について考え続けている子です。女手一つで育ててくれる母、貧乏な家庭、自分と瓜二つ(五つ)の姉妹の存在、”五つ子であること”を刷り込ませる言葉たち…とかなんか幼少期に色々あって「自分がいなければお母さんはもっと楽だったのに」みたいな、クソガキらしからぬことを考え始めたわけです。そしてこのような思考こそが、彼女の他人本位性を形成していると思い込んでいます。
 しかし、彼女が作中で見せる他人本位プレーはどう考えても異常です。怖い怖い怖い怖い!東京03飯塚。どうしてこうなったのか考えていきましょう。
 

他人本位性が形成されるまで

 彼女のこの性格が形成された理由を考えるために、小学生時代まで遡りましょう。修学旅行で姉妹たちとはぐれた四葉は、偶然出会った金髪模試太郎風太郎と超エキサイティンな体験をし、なんやかんやで「俺たちたくさん勉強をしてお給料もらえる会社に入って、必要とされる人間になろうZe」みたいな約束を交わします。そう、姉妹の輪から離れたところで。お前は。そんな二人が後のお父様に保護され、風太郎もろとも姉妹の泊まる旅館に連行されたところからが事案の始まり。
 
 彼女は、自分にそっくりな別人と楽しそうに話す風太郎を目撃してしまうのです。それも、自分だけの体験をウッキウキで二乃に話している最中に、です。これをきっかけに、中野四葉は姉妹たちとそっくりであることを嫌がるようになります。そう、これを象徴するものこそが彼女だけのトレードマーク、クソデカリボン。バケモンがよ…
 呪いのリボンを装備した後の彼女は学生生活を「自分が特別であるため」に過ごすことになります。中学では約束の通り勉強に全てを注ぐも結果が出ず、高校では多くの部活動で結果を残すことで。形を変えながらも必要とされる自分を実現しようと奮闘して…なんか頑張っててえらいね!でももうすっ飛ばしちゃったね、必要とされるまでの過程。
 
しかしその結果は、成績不良による落第、姉妹まで巻き込んだ転校騒動。
『もう 誰が一番だなんて考えるのはやめよう 私は 皆のために生きるんだ』
 
───ってのが、彼女の性格が出来上がる過程。
 
もっと前にも似たような流れを含む可愛い小話があった気がしている 気のせい。
五つ子全員でサッカーの助っ人に入り、監督の『四葉をお手本にして練習するんだぞ』という一言から個としての自分を意識し始め、その直後に財布を落として姉妹に迷惑をかけてしまう。とても小さな一連の出来事ですが、これこそがまるで将棋のように描かれ続けることになる「呪い」の始まりだったわけです。ほんまか?
 
 つまり、必要とされる自分になりたいという強い願望が、他人本位性に変化して、その異常さは…姉妹の足を引っ張るという最悪の結果による反動から生まれたってコト!?誰も迷惑だなんて思っていないのに……
 
 

なんで嫌いなんですか?

 この行動原理によって、作中の彼女は幾度となく自分を押し殺して、姉妹のために皆のために……という行動をとっています。これだけならまあねって感じなんですけど。

 

何が真にムカつくって、繊細で小さな彼女が抱え込むには大きすぎるんですよ。

 

 彼女は自分を押し殺すあまり、本来の自分を失ってしまったように見えてくるんですね。それを最も効率よく摂取できるクッソ大嫌いな一コマを啜る~!

 
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殺すぞ~~~~~!!!!!!!!!!!
 
全オタクが大好き、勤労感謝ツアーでの一コマ。薄っぺらい布の奥には、本物なのかわからない中野四葉が入っており、怒りのあまり試着室に入って行ってしまいました。
 
誤魔化しているだけなのか本当にわからないのかを完全に推し量ることは難しいのですが、その後の挙動を見るに、ここでは本当にわからなかったのでしょう。
 
 四葉の過去編を全て通ってきたうえでこの勤労感謝ツアーへもう一度参加すると、彼女の本当の姿、本物の笑顔がどれなのか…次第に彼女の全てが分からなくなっていくとされています。要出典
 
『これ 二乃が欲しがってたから 喜ぶだろうなぁ』
 
このセリフで、これ以上ないくらいに露骨に見せてくるわけですよ。張り付いたような笑顔を。これを見てしまえば最後、我々は彼女が作中で見せる大量の笑顔がなかなか見分けられなくなっていきます。なんだお前のその笑顔はよ…
本物か?
  ああもうわからん
    誰?お前
瀧くん、心の一句。
 
 このように彼女が大きすぎるモノを抱えてしまったあまり、こちらからはなかなか姿が見えてこないように思える訳です。でっけえ岩だコレ(木ノ葉丸)
 
 目に映るものが本当の姿なのか分からなくなってくると、もう考えれば考えるほどに時間を吸われて、だんだんとイライラしてくるわけです。これこそが嫌いの正体。って話でしたとさ。おひたしおひたし。
 

おわり

 ここいらで嫌いの話は終わりです。ミステリアス、全く形が見えてこない人に惹かれるってのは、恐らく生きていて結構ありますよね。知りたいと思う気持ちが形を変えていって、好きになってる(もしくはそれを恋心だと勘違いする)みたいな。彼女の場合、本来めちゃめちゃわかりやすくて嘘が全くつけないタイプであるのに、何故かわからなくなってくるのが恐ろしいところだなあ……と思います。
そういうのに限ってハマると破滅するってのもわりかしあって、僕も破滅して3万円する中野四葉腕時計を買わされました。気が狂って普段から装備しています。
 
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長くなりましたが、そんな彼女に『私に気づいてくれる人がいるから』と言わしめるほどに中野四葉を理解し、呪いのリボンを外させるまでに至った上杉風太郎という男はもっと嫌いです。俺が本当に許せねえのはお前だよ……
 
 初回なのに力が入りすぎてしまったので次回は老後に取っておきます、故に最終確認作業もやってません。またどこかでお会いしましょう。
 
おしまい